勾配屋根の断熱と通気をしっかりと施工する事で、つららの出来にくい屋根になる。
今回は、勾配屋根部分の状況のご紹介です。 S様邸は、外観は通常の勾配屋根ですが、断熱工法的には、「屋根断熱」の勾配屋根です。 この工法の屋根にはしっかりとした通気計画が必要となります。 既存の屋根の状態を見るとダクト屋根と同じく長い年月により板金材は劣化していました。
屋根からの雨漏りは、この仕上げ板金材と下地のアスファルトルーフィングの二重防水とするのですが、仕上げ材の方の防水性能が劣化すると、防水層は一層しかなくなり、漏水する可能性が高くなります。
屋根材を撤去後、野地板の状態を確認しました。 中央部はやはり野地板が傷んでいたため、撤去し、断熱材の状態を確認しました。 事前の調査時どおり、屋根垂木間に通気層がなく、室内の熱が直接屋根へ逃げる構造となっていました。
傷んでいた野地板を交換し、まずは、屋根断熱をさらに強化します。 熱伝導率0.018Wの高性能断熱材であるジーワンボードを50mm貼り付けます。
その後、屋根の通気層を作ります。 通気層は壁からの通気と連続させるようにします。 空気の流れる層となりますので、透湿防水シートも屋根に張ります。 万が一屋根から雨が入っても、この防水シートも防水層の一つになります。
その後は、野地板張りと日射の為の断熱材を張り付け、二層目の防水層となるゴムアス系ルーフィングを張りました。
最後は、防水層の三層目となる無落雪の板金瓦(天然石仕上げ)を葺き、勾配屋根の改修が完了しました。
切妻(三角形)となる部分の屋根は、頂点の「棟(むね)」部分からも空気が流れるように、棟換気口を取付けます。
今回の改修工事ポイントは、
・屋根の上の雪は、小屋裏の通気をきちんととる。(通気経路を計画し、空気を止めないようにする)
・防水層は二重以上とし、可能であればさらに増やす。
などがありました。
個別現場レポート→「札幌市北区 S様邸リノベ」