【北のブランドの家モデルハウス】の現場レポートを通じて、「機能とデザインについて」のお話しです。 住環境を良くするために研究者の皆様は、一所懸命、実現するためのシステムを考えています。 そして、私たち施工者は、「生活できる家」にする為に、さらに、機能的で、デザイン的で、地域性を考慮した物を作る必要があります。
性能を十分に発揮する事が出来る「形」にするために、今回の「北のブランドの家モデルハウス」では色々な事を考えました。 まずは「壁ガラリ」です。 ガラリとは、空気を通すための換気口で必要とされる機能は、当然、計算で必要としている空気量を流すことですが、これが難しかったです。 なぜなら、良い製品が無いためです。 そこで、地元の建具業者さんと打ち合わせを行い、デザイン的であり、かつ、脱着可能であり、中が見えにくいものを製作しました。
製作したガラリを取付けて、確認をしました。 ばっちりでした! 今回、考えた「機能をデザイン」したポイントは、2つありました。
1. 横桟形状にして、上からだと中が見えない事
2. ガラリを一つのデザインと考え、長くし伸ばし、建物と一体化をはかった事
工事の方は、鉄骨階段取付けも行いました。 階段は、家にとっては特殊な空間です。 それは、縦方向への移動があるためです。 学生時代、非常勤の建築家のN先生は、「階段を制する者は、建物を制する~!」と言っていたのを思い出します(笑) もちろん「上りやすく、カッコよく」を気を付けながら企画・製作・取付を行ないました!
鉄骨階段は通常、一直線の物が多いのですが、今回は、周りも三段もあるものでした。 もはや、ささら桁だけでは納まらず、さらに踏板の製作も複雑で、設計・取付に苦労しました・・・。 無事、鉄骨階段と集成材踏板の取り付けを終了しました。 現在は錆止め塗装のグレーの鉄部ですが、今後、艶消しの黒(柔らかく見せるために実際は、濃いグレー)で塗装しています。
和室の造作も行いました。 メインとなるのは、中央の堀こたつです。 こたつという「部材」を「建築」に取り込むので、製作図と施工図が必要となります。 ここで、施工管理のワンポイントがあります。 設計図では表現しきれていないのですが、実は、掘りごたつの四方枠を少し動くようにしています。 これは、琉球畳を敷いた時、畳の製作精度より、建物の精度が低いため、どこかで調整が必要だからです。 枠をフリーにすることにより、畳と枠とが隙間なく出来ます!
私の現場管理の仕方は、図面上で理想的な寸法(クリアなし)とし、守る寸法と逃がす寸法を現場で説明します。 ここに私流の現場管理ポイントがあります。 それは、図面を渡して終わりではなく、実際に作る人に、この図面の注意点を説明することで、図面をよく見てもらい、かつ、コミュニケーションをとる事です。 これで、大工さんによる和室の造作も完了です。
今回のブログは、「機能とデザインについて」でした。 結局、デザインについて思うのは、お手本となる住宅をたくさん見る事です。 その中で、自分にとって何が好きかというのを明確にすることだと思います。 (仕事として住宅作りに携わる私の場合は、建築学に基づく王道になってしまいがちですが・・・。 お客様は、好きなインテリアなどが似合う家づくりも良いかと思います。)
来週からは仕上げの工程に入ります。 まずは、壁紙取付などの内装工事となります。 壁紙や住設機器もコンセプトをしっかりと持って、トータルコーディネートしていますので、お楽しみに!
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